生花と音楽のコラボ "ike-log" 〜The 1st week in Nov.〜 Tea For Two / Nick DeCaro
いよいよ11月ですね!11月と聞くと朝晩はしっかり防寒しないと耐えられないイメージなんですが、神戸では日中などは半袖でも過ごせそうなほど暖かい陽気が続いています。冬が苦手な僕には暖冬はとてもありがたいのですが、これが長引きますと農作物への影響が心配です。何でもほどほどがいいですね。
ではさっそく11月最初のお花はこんな感じです。おなじみK.M師匠のハサミさばきが冴える作品です。
Arranged by master K.M
ラベンダーカラーのトルコキキョウ、水色のデルフィニューム、赤いピンポンマム、ピンクのスプレーカーネーションと実にカラフルですね。そのなかで真っ赤な実と茎でひときわ存在感を示しているのが紅アオイです。今回はこの紅アオイにスポットを当ててみることにしましょう。
紅アオイ、正式名称は「ハイビスカス・オブタリファ」別名をローゼルといいます。実の部分はハイビスカスティーの原材料となるそうですよ。写真は花が終わって外側の赤い「ガク」になっている状態ですがこの「ガク」の部分を乾燥させてお茶に使うのだそうです。
お茶以外にも、お酒に漬けてローゼル酒や、砂糖と煮詰めてジャムに、さらに料理のソースにも使われるみたいですね。また、若葉はカレーの風味付けに使われたり、茎は繊維や染色にも使われたりとまさに万能植物なんですよね。ハイビスカスティーと聞くと、南国の赤いハイビスカスの花をイメージしたりするのですが、実際にはこの紅アオイ(ローゼル)が原材料だったとはちょっと意外でした。
そんな紅アオイからインスパイアされた楽曲はコチラ。
Nick DeCaroさんが1974年にリリースした、「元祖AORの名盤」と名高い"Italian Graffiti"に収録されました "Tea For Two"です。
Nick DeCaro / Italian Graffiti (1974)
言わずと知れたジャズスタンダードのカヴァーです。"Tea For Two"はニックさん以外にも数多くのカヴァー・ヴァージョンが存在しますが、個人的にはトミー・ドーシー・オーケストラ、アニタ・オディさんと並んで、好きなヴァージョンです。
ジャケット写真はむさ苦しいひげ面のニックさんが全面にフィーチャーされているのですが、中身の方はニックさん抜群のアレンジと一人多重録音によるコーラスワークで最高に心地いい音が満載です。プロデューサーにTommy LiPumaさんを迎え、アレンジとキーボードはニックさんご本人が務め、さらにDavid T. Walkerさん(ギター)、Harvey Masonさん(ドラムス)、Wilton Felderさん(ベース)他、錚々たるメンツが素晴らしい演奏を聴かせてくれます。決してジャケットのイメージだけでスルーにしないでいただきたい名盤です。
このアルバムは基本的にStevie WonderさんやStephen Bishopさん他、コンテンポラリーな楽曲カヴァー集なのですが、唯一この"Tea For Two"だけがスタンダードカヴァーとなっています。ゆったりとした4ビートでハイビスカスティなんぞをオープンカフェでたしなみながら聴きたくなる1曲ですね。オープンカフェで震えずに済む今がラストチャンスでしょうけどね(苦笑)